2014-01-01から1年間の記事一覧

医師派遣打ち切りという伝家の宝刀(2)

(前回から続く http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/11/24/210920) 近年、医局という封建社会が崩壊して、特に地方の病院は医局人事と関係なく医師を採用できるようになったと言われるが、医局制度はちっとも崩壊していない。麻酔科に限らず、地方自…

医師派遣打ち切りという伝家の宝刀(1)

大学(医局)が地方自治体への医師派遣を打ち切るという事態が今までに数多く起っている。医師不足による過重労働と給与面での待遇について、派遣先である病院側との折り合いがつかなかった場合に、派遣元である医局が医師派遣を打ち切るという形で起ること…

医師 vs 歯科医師(2) (歯科医師は歯だけを診ればよい?)

(前回から続く http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/09/15/220004) 現在は、歯科医師の身分が安定し、供給過剰によって歯科医師の社会的地位や収入などが低下していることもあり、医師にとって歯科医師の存在は眼中にないが、多少の対立は続いている…

医師 vs 歯科医師(1)  (歯科の変遷)

明治以降、歯学部は医学部と同様に歩んでおり、大学での教育期間は医学部と同じ6年間で、カリキュラムも医学部と非常に良く似ている。教養科目と基礎系科目はほぼ同じだが、基礎系科目は、医学部は分子生物系、歯学部は理工学系の科目の占める割合が多い。歯…

医学部は不正な金銭が多い? その6(プール金の発覚事例)

(前回から続く http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/08/15/224237) 大阪大学の事件以降、文部科学省の要請を受けて、全国の大学では公的資金の不正経理の調査を始めた。 北海道大学では、2011年7月、札幌国税局から「取引業者との間で不適切な会計処…

医学部は不正な金銭が多い? その5 (プール金の実態)

(前回から続く http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/08/10/200017) 不正経理の3つ目の手法は業者へのお金のプールである。ほとんどの医学部で行われていた。教員などがある特定の業者へ依頼して、提示した金額に見合った見積書や請求書を作成してもら…

医学部は不正な金銭が多い? その4 (カラ出張の手口)

(前回から続く http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/08/03/212554) カラ出張も不正経理の手段としてよく使われた。カラ出張とは、出張に行っていないのに行ったことにして旅費を貰うことである。旅費の算出の仕方は助成金の種類や大学によって異なる…

医学部は不正な金銭が多い? その3(カラ雇用の実例)

(前回から続く http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/07/27/205106) アルバイトの銀行口座に振り込まれた給料を自身で引き出して教授に現金で渡していた例として、大阪大学医学部の森本兼曩(かねひさ)元教授が研究員の女性にただ働きを要求し、この…

医学部は不正な金銭が多い? その2

前回(http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/07/22/110823)から続く ③研究費の不正使用 医学部は研究費が豊富である。まず、大学の資金から各学部に研究費が振り分けられるが、医学部は他の学部よりも高い。特に国公立大学は高く、講座の人数によって金…

医学部は不正な金銭が多い? その1

野々村竜太郎・元兵庫県議員の政務活動費の不正支出が問題になっている。平成25年度に城崎温泉(豊岡市)など4カ所を日帰りで計195回訪問し、約300万円を支出した。いずれも領収書はなかった。その他にも、自宅近くにあるスーパーや県庁近くのコンビニなど…

医学部のセクハラ事例

医学部のハラスメントに対するスタンスは「パワハラは良いけどセクハラはダメよ」だ。絶対的権力者である医学部教授は男尊女卑の傾向が強く、当然セクハラも起こる。パワハラと違って、セクハラは証拠がなくても認定されることが多い。医学部に限らず、教育…

医学部のパワハラ事例

(前回からの続き http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/03/30/152529) 医学部におけるパワハラの事例を新聞報道などからいくつか紹介する。中には、被害者の人生やキャリアを大きく変えてしまうほどの悪質な事例も存在する。 まずは琉球大学医学部の3…

医学部はパワハラ天国 3

(前回からの続き)http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/03/24/160243 裁判が決着した後、この方はハラスメントの実態調査を行っている。「アカデミックハラスメントの実態調査研究 -大学および大学教員に対するアンケート調査結果報告書-」(2002年 …

大学における初めてのパワハラ裁判は医学部で起った

大学におけるパワハラについて、初めて裁判で争われたのが、2002年に判決が確定した奈良県立医科大学の事例だ。公衆衛生学講座の女性助手(当時52歳)が教授から嫌がらせを受けたとして、教授と奈良県に550万円の損害賠償を求めた訴訟を起こした。1審の大阪…

医学部はパワハラ天国 2

(医学部はパワハラ天国1 http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/03/21/224419) 横浜市立大学のハラスメントは被害者が2年生ということで、おそらく基礎医学系の教授だと思われるが、教授が権威を笠に着てハラスメントを行う事例は医学部では珍しくはな…

医学部はパワハラ天国 1

教授を頂点とした医学部の閉鎖的なピラミッド型の講座はパワーハラスメント(パワハラ)の温床となっている。教授はパワハラをして当たり前、これに耐えてこそ一人前の医師になる? 医学部はハラスメントに対する意識が非常に低く、その対策を行っていない大…

続 小保方さんのこと

小保方さんは博士論文の画像や参考文献もコピーペーストしていた。画像はコスモ・バイオ社が作成しホームページに掲載しているマウスの幹細胞の写真。見る限り全く同じ細胞だ。また、論文の最後に添付することになっている参考文献リストもコピペだったよう…

医学部の威圧的な教員

医学部の学生は生意気で頑固な者が多い。医師になると患者・看護師・周囲の者から「先生」と言われて表面上尊敬され、「医師は特権階級だ」と勘違いしてしまう。特に、卒業後も大学に残り出世していく医師は、ものすごくエリート意識が強く、権威や名誉を求…

アンケート三昧の大学

医学部も含めて最近の大学は学生に対するアンケートが多い。前期・後期の講義の終了後に行う授業評 価ためのアンケートの他に入学試験の面接官の態度を問うアンケートもある。教員のランク付けのためのアン ケート(人気投票というべきか)を行っている大学…

医学部教授になるための条件 その1

医学部というとどんなイメージを思い描くだろうか?歴史と実績に基づいた教育システム、高度で洗練された教育内容、朝から晩まで勉学に勤しむ優秀で礼儀正しい学生、診療や研究に勤しむ医師、冷静かつ頭脳明晰で人格者である教授、といったところだろう。し…

医学部教授になるための条件 その2

(前回から続く http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/02/22/175554) 教授になるために大切な第二の条件は運である。教授が新任後に思いもかけず早世してしまう例は珍しくはない。教授選に破れて他の大学に転出した助教授が呼び戻されて、めでたく元の…

医学部教授になるための条件 その3

(前回から続く http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/02/22/225323) 教授になるための第三の条件は、どの組織にも共通することだが、上司に目をかけられることである。決して教授に逆らわず、教授によく付き合い、盆暮れの贈り物を欠かさない。そして…

医学教育と医学生気質

医学部は6年制である。1年生で語学・生物・物理・化学・心理学などの教養科目を学ぶ。2年生から3年生にかけて解剖・生理・病理などの基礎医学を学び、4年生で内科・外科などの臨床医学を修得する。1年から4年までは病理学などの実習もあるが主に座学である。…

意外と不真面目な医学生たち

医学部の出席率は他の医療系学部に比べて低い。出席カードなどで出欠を取った後、教室からこそこそ(時には堂々と)退席していく学生が結構存在する。出席カードの偽造も後を絶たない。欠席していたのに、「たまたまトイレに行っていた」と言い訳して、後か…

卒業生が誰も行かない医学部の「修士課程」

大学規制緩和以前の医学部では大学院は博士課程のみであった。医学部は修業年数が6年であるから、大学を卒業すると修士相当の教育を受けたことになる。従って、修士課程は医学部には存在しなかった。規制緩和以降、ほとんどの医学部に修士課程が設置された。…

「医学博士」はチョロイ?

「全聾の作曲家であった佐村河内氏は実は作曲していなかった」という衝撃の事実が話題になっている。しかも、聾ではないとのこと。ワイドショーによると、音楽業界ではゴーストライターは珍しくないらしい。実は医学部も似たようなものだ。大学院生の医学博…

医学部は論文ねつ造が多いのか?

報道される記事を見る限り、研究の不正は医学部に多いように感じる。次の2例は、多額の資金を使い、複数の大学で多数の研究者が関与した研究で起こった重篤な事例である。 2014年1月10日、臨床研究「J−ADNI」を巡り、不適切な患者のデータが含まれてい…

増加する女医とガラスの天井

平成22年度における女医の割合は全体で18.9%だが、29歳以下に限ると35.9%であり、年々増加している。どの職種にも言えることだが、女医が結婚して妊娠すると、出産と育児のために一時的に休業する。その後復職する場合もあるが、退職して他の職場へ移動し…

北海道で2例目の心臓移植が行われた。日本初の心臓移植「和田移植」の46年後であった。その裏側で行われた責任転嫁。

2014年1月6日、北海道大学病院(札幌市)循環器外科は、関東地方で頭部外傷のため脳死と判定された成人男性の心臓を20代男性に移植する手術を行った。北海道で心臓移植が行われたのは2例目であるが、1例目は45年前の1968年に札幌医科大学第二外科(胸部外科…

東京女子医大の業務上過失致死事件のもう一人の犠牲者

和田寿郎は札幌医大を退職した後、東京女子医科大学に教授として迎えられ定年を迎えた。北海道で2例目の心臓移植が行われた。日本初の心臓移植「和田移植」の46年後であった。その裏側で行われた責任転嫁。 - 医学部教員の独り言 その女子医大で起こった医療…