医学部は不正な金銭が多い? その4 (カラ出張の手口)

(前回から続く http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/08/03/212554

 カラ出張も不正経理の手段としてよく使われた。カラ出張とは、出張に行っていないのに行ったことにして旅費を貰うことである。旅費の算出の仕方は助成金の種類や大学によって異なるが、往復の交通費と宿泊費を実費で支払う場合、往復の交通費の実費にプラス宿泊費を定額で支払う場合、出張の日数や行き先によって金額が決まる定額制の3通りの方法がある。実費で支払われる場合は領収書が必要であるからカラ出張は不可能である。問題は定額制の場合である。行き先と日数によって金額が決まるので領収書は必要ない。では出張に行ったという証明はどうするのか。まず事前に出張日程を旅費の支出先に申請し、出張から帰ったら航空会社の搭乗券の半券を提出する。従って飛行機を使ったカラ出張は不可能であるから、もっぱらJRでの出張がカラ出張に利用される。JRを利用する際は、切符は券売機で購入する事が多いため領収書は無いし半券も残らない。出張の名目は会議や研修会などへの出席ということにする。学会への出席は学会参加証などの提出が求められるのでカラ出張には使えない。事前の申請で出張に行ったという証拠が要求されない架空の会議をでっち上げるわけである。この点は野々村竜太郎・元兵庫県議員の政務活動費の日帰り出張の手口と同じである。そして、旅費は各人の講座に振り込まれるわけだが、その旅費を講座にキックバックする場合と、各人が個人的に別の目的で使う場合がある。後者の場合、研究費として使うのならば罪は少し軽いかもしれないが、中には私的に使う不届き者もいる。カラ出張は主に教授から助手までの大学の職員で行われるが、大学院生なども巻き込んで教室が一丸となって行っているところもある。

(続く http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/08/15/224237