医師の一斉退職という爆弾

名古屋大病院で救急科の医師21人のうち半数近い9人が2016年3月末で一斉に退職した。名大病院は他の診療科の医師の応援を受けるなどして、救急患者の受け入れ体制を維持し、影響が出ないようにする。病院側は4月中に学外有識者を交えた調査委員会を設置、退…

医学部の教授になったのに辞めちゃう人たち

医学部の教授なのに、定年を待たずに辞める人っているのだろうか?実は結構いるのです。一般の職場のように会社の業績不振によるリストラはないので、辞める理由は概ね次の4通りである。①病気による死亡あるいは療養のため。②何らかの理由で嫌になってしまっ…

東大話法ならぬ医者話法?

(前回から続く 医学部新設反対の医師会と大学病院(2) - 医学部教員の独り言) 医学部新設反対の医者の主張を熟考していると、東京大学の安冨歩教授が、その著書「原発危機と東大話法」の中で紹介していた「東大話法」を思い出す。東大話法とは「常に自ら…

医学部新設反対の医師会と大学病院(2)

(前回より続く 医学部新設反対の医師会と大学病院(1) - 医学部教員の独り言) 医師会も大学病院も、医学部新設反対というスタンスは同じである。日本医師会は歯学部の定員割れにも言及している。医師を増員すると、将来、歯科医師のように過剰なると恐れ…

医学部新設反対の医師会と大学病院(1)

(医師、看護職員、理学療法士・作業療法士などの)医療従事者の需給に関する検討会の第1回会議が2015年12月10日に厚生労働省で開催された。当初は医師の増員の有無の議論を先行させるようだ。医師の需給に関しては、日本医療法人協会や全日本病院協会などの…

浜松医科大学教授がパワハラで学長を提訴・・・あっぱれ!

浜松医科大学医学部教授がパワハラで大学と学長を訴えた。珍しいケースだそうだ。教授が大学を訴えることはあるが、ほとんどの場合は解雇などが原因だ。以下に、2015年7月8日配信のm3.comから転載する。 事前の相談のないままポストや教育範囲を減らす決定を…

札幌医科大学教授の懲戒処分

札幌医科大学は平成27年5月25日付けで50代教授の懲戒解雇処分を行った。教授の解雇はとても珍しい。札幌医大のホームページを見ると、解雇の理由について次のように記載されている。 平成27年5月25日付けで次のとおり、本学教員に対する懲戒処分を行いました…

ハラスメント対策を行わない医学部

以前にも書いたが、医学部はハラスメントが多い。そして、それがまかり通る組織だ。私の大学ではハラスメントがまともに解決された事例は1例もなく、被害者が相談してもそのまま放置するか、調査委員会が開催されてもなぜか「ハラスメントはなかった」ことに…

理事長vs学長vs医学部長

医療ミスなどの不祥時が起こったときに、医療事故の3点セット (医療ミスにおける大学病院の対応3点セット - 医学部教員の独り言) に加えて、大学の内部抗争が顕在化することがある。東京女子医大でもプロポフォールによる男児の死亡事故をきっかけに、理事…

医療ミスにおける大学病院の対応3点セット

2014年2月21日、東京女子医科大学病院耳鼻咽喉科入院中の2歳10カ月の男児が、嚢胞性リンパ管腫の手術後のICUでの管理中に鎮静薬プロポフォールの大量投与によって死亡した。プロポフォールは、小児麻酔の適応はあるが、小児への集中治療における人工呼吸中の…

医学部の面接試験

大学の入学試験の面接の時期が近づいている。以前に「医学部の威圧的な教員」(http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/03/02/220649)で書いたように、人を人と思わぬ“残念な”面接官がいる。受験生に対して威張ったりバカにしたりする面接官が、少数派だ…

群馬大学医学部の事件

群馬大学医学部が問題を起こしている。群馬大病院第二外科(消化器外科)で、2011~14年に行われた肝臓の腹腔鏡手術55例中8人の患者が術後4か月以内に死亡していた。また、開腹手術でも患者84人のうち、60~80歳代の男女10人が術後3か月以内に敗血症や肝不…

医師派遣打ち切りという伝家の宝刀(2)

(前回から続く http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/11/24/210920) 近年、医局という封建社会が崩壊して、特に地方の病院は医局人事と関係なく医師を採用できるようになったと言われるが、医局制度はちっとも崩壊していない。麻酔科に限らず、地方自…

医師派遣打ち切りという伝家の宝刀(1)

大学(医局)が地方自治体への医師派遣を打ち切るという事態が今までに数多く起っている。医師不足による過重労働と給与面での待遇について、派遣先である病院側との折り合いがつかなかった場合に、派遣元である医局が医師派遣を打ち切るという形で起ること…

医師 vs 歯科医師(2) (歯科医師は歯だけを診ればよい?)

(前回から続く http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/09/15/220004) 現在は、歯科医師の身分が安定し、供給過剰によって歯科医師の社会的地位や収入などが低下していることもあり、医師にとって歯科医師の存在は眼中にないが、多少の対立は続いている…

医師 vs 歯科医師(1)  (歯科の変遷)

明治以降、歯学部は医学部と同様に歩んでおり、大学での教育期間は医学部と同じ6年間で、カリキュラムも医学部と非常に良く似ている。教養科目と基礎系科目はほぼ同じだが、基礎系科目は、医学部は分子生物系、歯学部は理工学系の科目の占める割合が多い。歯…

医学部は不正な金銭が多い? その6(プール金の発覚事例)

(前回から続く http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/08/15/224237) 大阪大学の事件以降、文部科学省の要請を受けて、全国の大学では公的資金の不正経理の調査を始めた。 北海道大学では、2011年7月、札幌国税局から「取引業者との間で不適切な会計処…

医学部は不正な金銭が多い? その5 (プール金の実態)

(前回から続く http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/08/10/200017) 不正経理の3つ目の手法は業者へのお金のプールである。ほとんどの医学部で行われていた。教員などがある特定の業者へ依頼して、提示した金額に見合った見積書や請求書を作成してもら…

医学部は不正な金銭が多い? その4 (カラ出張の手口)

(前回から続く http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/08/03/212554) カラ出張も不正経理の手段としてよく使われた。カラ出張とは、出張に行っていないのに行ったことにして旅費を貰うことである。旅費の算出の仕方は助成金の種類や大学によって異なる…

医学部は不正な金銭が多い? その3(カラ雇用の実例)

(前回から続く http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/07/27/205106) アルバイトの銀行口座に振り込まれた給料を自身で引き出して教授に現金で渡していた例として、大阪大学医学部の森本兼曩(かねひさ)元教授が研究員の女性にただ働きを要求し、この…

医学部は不正な金銭が多い? その2

前回(http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/07/22/110823)から続く ③研究費の不正使用 医学部は研究費が豊富である。まず、大学の資金から各学部に研究費が振り分けられるが、医学部は他の学部よりも高い。特に国公立大学は高く、講座の人数によって金…

医学部は不正な金銭が多い? その1

野々村竜太郎・元兵庫県議員の政務活動費の不正支出が問題になっている。平成25年度に城崎温泉(豊岡市)など4カ所を日帰りで計195回訪問し、約300万円を支出した。いずれも領収書はなかった。その他にも、自宅近くにあるスーパーや県庁近くのコンビニなど…

医学部のセクハラ事例

医学部のハラスメントに対するスタンスは「パワハラは良いけどセクハラはダメよ」だ。絶対的権力者である医学部教授は男尊女卑の傾向が強く、当然セクハラも起こる。パワハラと違って、セクハラは証拠がなくても認定されることが多い。医学部に限らず、教育…

医学部のパワハラ事例

(前回からの続き http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/03/30/152529) 医学部におけるパワハラの事例を新聞報道などからいくつか紹介する。中には、被害者の人生やキャリアを大きく変えてしまうほどの悪質な事例も存在する。 まずは琉球大学医学部の3…

医学部はパワハラ天国 3

(前回からの続き)http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/03/24/160243 裁判が決着した後、この方はハラスメントの実態調査を行っている。「アカデミックハラスメントの実態調査研究 -大学および大学教員に対するアンケート調査結果報告書-」(2002年 …

大学における初めてのパワハラ裁判は医学部で起った

大学におけるパワハラについて、初めて裁判で争われたのが、2002年に判決が確定した奈良県立医科大学の事例だ。公衆衛生学講座の女性助手(当時52歳)が教授から嫌がらせを受けたとして、教授と奈良県に550万円の損害賠償を求めた訴訟を起こした。1審の大阪…

医学部はパワハラ天国 2

(医学部はパワハラ天国1 http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/03/21/224419) 横浜市立大学のハラスメントは被害者が2年生ということで、おそらく基礎医学系の教授だと思われるが、教授が権威を笠に着てハラスメントを行う事例は医学部では珍しくはな…

医学部はパワハラ天国 1

教授を頂点とした医学部の閉鎖的なピラミッド型の講座はパワーハラスメント(パワハラ)の温床となっている。教授はパワハラをして当たり前、これに耐えてこそ一人前の医師になる? 医学部はハラスメントに対する意識が非常に低く、その対策を行っていない大…

続 小保方さんのこと

小保方さんは博士論文の画像や参考文献もコピーペーストしていた。画像はコスモ・バイオ社が作成しホームページに掲載しているマウスの幹細胞の写真。見る限り全く同じ細胞だ。また、論文の最後に添付することになっている参考文献リストもコピペだったよう…

医学部の威圧的な教員

医学部の学生は生意気で頑固な者が多い。医師になると患者・看護師・周囲の者から「先生」と言われて表面上尊敬され、「医師は特権階級だ」と勘違いしてしまう。特に、卒業後も大学に残り出世していく医師は、ものすごくエリート意識が強く、権威や名誉を求…