医学部のセクハラ事例

 医学部のハラスメントに対するスタンスは「パワハラは良いけどセクハラはダメよ」だ。絶対的権力者である医学部教授は男尊女卑の傾向が強く、当然セクハラも起こる。パワハラと違って、セクハラは証拠がなくても認定されることが多い。医学部に限らず、教育機関はセクハラには厳しい。パワハラに対する処分は無いか、あっても軽く、辞職に至ることは少ないが、セクハラの場合は教授といえども重い処分となることがある。

l 毎日新聞 2006331

    脳科学者として知られる沢口俊之・北海道大大学院医学研究科教授(47)が大学の女子職員に

 セク シャルハラスメント(性的嫌がらせ)をしていたとして、北大が諭旨免職処分とする方針を決めたことが

 31日明らかになった。沢口教授は辞職願を既に提出しているが、代理人の弁護士によると、「セクハラの

 事実はない」として31日にも大学に異議を申し立てる。北大によると、沢口教授は05年7月ごろ、女性

 職員の自宅を訪れるなどして関係を持つよう数回迫った。拒否されると、「辞めてしまえ」などとどなりつけた

 とされる。女性職員は同年9月に学内のセクハラ相談員に通知。セクハラ等防止対策室に調査委員会

 を設置し、調査した結果、セクハラの事実を認定した。今月22日の教育研究評議会で処分を決め、本 

 人に通知した。沢口教授の代理人は「女性の方からアプローチがあり、女性の意に反したり、教授の立場

 を利用して関係を迫ってはいない」と話している。辞職願は18日に出された。4月1日までの2週間以内 

 に取り下げないと正式に受理され、諭旨免職前に自主退職扱いとなる。記者会見した北大の南俊夫広

 報課長は「諭旨免職は2週間以内に異議申し立てがないと確定するが、その前に辞職願が取り下げられ

 ないと自主退職の扱いになる」と説明している。沢口教授は「平然と車内で化粧する脳」や、阿川佐和子

 さんと共著の「モテたい脳、モテない脳」など、脳科学を分かりやすく解説した著書が多数ある。

 

l和歌山県立医科大学男性教授(43)が女子学生の体を触る(毎日新聞 2007124日)

    2007年、和歌山県立医科大学の独身男性教授(43)が質問事項に答えるとして女子大生を自宅

  に呼び必要以上に体を触ったなどとして、大学はこの教授を懲戒免職処分にしたと発表した。大学による

  と、教授は5月中旬、自分の専門分野に興味を持っていた女子学生を自宅に呼び、拒否したにもかかわ

  らず長時間、体に触った。女子学生が9月、大学側に訴えて発覚。内部調査に対し教授は「不適切な

  行為だった」と認め、9月から自宅研修扱いとなっていた。

 

l群馬大医学部の教授と助手がセクハラ(産経新聞 20071029日) 

群馬大(前橋市)は1029日、医学部の女子学生に対し50代の教授と40代の助手2人によるセクハラ(性的嫌がらせ)行為があり、同日付で教授を約11,000円減給(1カ月)の懲戒処分としたと発表した。助手2人は既に辞職した。大学側によると、615日深夜から翌日未明にかけて、前橋市のカラオケ店で開いた学生らとの懇親会で、助手2人は女子学生の足に抱きつくなどした。教授は女子学生とダンスなどをした上、助手のセクハラ行為を見逃していた。教授は「酔って寝ていて気が付かなかった」と話しているという。

この教授は別の女子学生にも飲み会で5分ほど足を触るセクハラ行為をしていた。この女子学生の訴えの内容は「2007517日に教授の診療科が飲食店で研修医の歓迎会を開いた際、教授がこの学生の隣に座り込み、密着した状態で「将来、うちの科に来ないか」などと勧誘しながら、ズボンの上から太ももを5分ほど断続的に触った」というもの。

 

l香川大学医学部教授が女子学生にキス迫る毎日新聞 200683日)

香川大学医学部の男性教授(52)が女子学生にキスをしようと迫り、文書訓告処分を受けていたが、学部長が事実を公表せず、1日まで大学本部にも報告していなかった。

 

l佐賀大学医学部教授が職員にセクハラ発言佐賀新聞 2006413日)

佐賀大学医学部の60代男性教授が部下の女性職員にセクハラ発言を繰り返し早期退職に追い込み、停職1カ月の懲戒処分を受けたが、教授はすでに退職届を提出し依願退職となった。同大によると、女性は昨年81日に採用されたが、教授は翌日から自らの性行動を話して感想を求めるなどのセクハラを始めた。女性は9月初めに大学のセクハラ対策機関に相談したが、行為は退職願を提出した913日まで続いたという。女性は同月末に退職した。教授は「女性職員の仕事を活性化するために話した。以前の職員にも同じような話をしている。精神的苦痛を与えて悪かった」と話しているという。佐賀大の古賀和文副学長は「大学の把握が遅れたため、相談後もセクハラが続いた。(対策を)見直す必要がある」としている。

 

l職員にセクハラ9か月間、医学部教授を懲戒解雇(読売新聞 2013327日)

女性職員にセクハラ行為を続けていたとして、和歌山県立医大は26日、同日付で医学部の男性教授(50)を懲戒解雇処分にした。大学の説明によると、教授は昨年1月に他大学から着任。同6月から約9か月間、女性職員に対し、教授の立場を利用してわいせつな行為やみだらな行為を強要していたという。先月28日、女性職員が大学側に訴えて発覚した。大学は調査委員会を設置し、関係者から事情を確認して処分を決定。教授は今月13日から自宅待機を命じられていた。教授は大学側の聴取に対し、おおむね事実を認めているが、女性への謝罪の言葉はないという。

この日行われた記者会見で、板倉徹理事長(学長兼務)は「許されない行為で、県民の皆様におわび申し上げる」と陳謝したが、「顧問弁護士と相談し、刑事事件にあたる内容ではないと判断した」と釈明。一方で、具体的な行為の内容については「女性のプライバシー保護のため言えない」と繰り返した。女性職員が県警に被害届を提出したかどうかは確認していないという。