医学部の面接試験

 大学の入学試験の面接の時期が近づいている。以前に「医学部の威圧的な教員」(http://smedpi.hatenablog.com/entry/2014/03/02/220649)で書いたように、人を人と思わぬ“残念な”面接官がいる。受験生に対して威張ったりバカにしたりする面接官が、少数派だが医学部には存在するのである。面接官は教授以外に准教授や講師もいるが、威張って残念なのは大抵が教授である。教授は偉いので何を言ってもいいと思い込んでいるようだ。最近は、面接の後に受験生にアンケートを行って、面接試験の改善に取り組んでいる医学部も増えている。

 面接試験は筆記試験の補助的な役割を果たしているにすぎない。筆記試験の点数が高い受験生の中で、「将来の医師としての資質」に欠けている者を選別しているのが面接試験である。面接官は面接時に入学試験の点数を知らないので、成績に影響されることなく選別している。筆記試験の点数が高い受験生は面接の態度も大抵は良い、だからほとんど合格する。点数が高いのに面接が非常に悪かったごく少数の受験生が落ちて、点数が合否ギリギリで面接が良かった受験生が運良く合格することになる。だから、合否ギリギリの受験生は面接が大事である。

 「将来の医師としての資質」だが、確か大学の面接マニュアルにその資質が書いてあった。人間的に良いとか、思いやりがあるとか、まじめであるとか、そんな感じだ。面接試験で受験生の「その資質」を見抜くのは非常に難しい。なので、面接試験の判定は「良い~普通」か「悪い」のどちらかになる。

 医学部の受験生の特徴は浪人生が多いことだ。1浪~2浪は当たり前、5浪以上もいる。面接時の質問は大体決まっているので、慣れて流暢に話す浪人生が多い。「医学部を志望した動機」「この大学を選んだ理由」「どうような医師を目指しているか」「得意な科目、不得意な科目」etc. でも、現役の受験生はなかなかそうはいかない。予め想定した質問に対して丸暗記していた答えを忘れて、途中でフリーズしてしまう学生。勉強ばかりしてニュースも見ないため、世の中で起こっている出来事について感想を求められても何も答えられない学生。何も答えないというのは非常に印象が悪い。どんな答えでもいいから、うまく話せなくてもいいから、正直に自分の言葉で答えて欲しい。

 面接で一番大事なことは第一印象が良いこと。はっきり言って顔である。イケメンとかカワイイとかではない。頭が良さそうな顔をしているか、誠実そうか、真面目そうか、正直そうか、である。歯並びもきれいなほうが良い。歯並びが悪いと頭が悪く見える。

 面接で上手に話せなくても悲観する必要はない。答えをすらすらと丸暗記して話すより、自分の言葉で率直に話す受験生の方が印象は良いのである。