医学部は不正な金銭が多い? その1

  野々村竜太郎・元兵庫県議員の政務活動費の不正支出が問題になっている。平成25年度に城崎温泉豊岡市)など4カ所を日帰りで計195回訪問し、約300万円を支出した。いずれも領収書はなかった。その他にも、自宅近くにあるスーパーや県庁近くのコンビニなどで、クレジットカードで約530回買い物を繰り返した。報告書の支出の名目は「事務費」とだけあり、領収書ではなくカードの利用明細が添付されていた。また、金券ショップで切手を約175万円分購入していたが、報告書に品名の記載がなかった。兵庫県警は、商品券など別の金券を購入し、換金したり使用したりした可能性もあるとみて調べている。

 まるで公金の不正使用のデパートのようだ。しかし医学部も負けてはいない。以前はいろいろとやっていた。

①名義貸し問題

 医学部はお金が集まる学部である。10年程前には医師の名義貸しや地方自治体からの不正な寄付が問題となった。医師の確保が難しい地方の公的病院、または医療機関の経営状況や医師不足によって常勤の医師を雇用することができない医療機関では、医師の名義貸しが頻繁に行われていた。さらに、医師数は診療報酬の点数とも関係しているため、名義貸しが診療報酬の水増し請求にも利用された事例もある。2003年、北海道のY国立療養所が札幌医科大学の医師5人から名義を借りて常勤医の医師数を水増しし、診療報酬を不正受給していたことが発覚した。(朝日新聞 2003年8月20日)同じ時期に発覚した北海道大学医学部の名義貸し問題では、外科のT教授がO町立病院から約6年間に渡って月30万円を受け取っていた。いずれの件も全く勤務実態がなかった。(読売新聞 2003年8月22日)名義貸しは日本全国で行われていたが、北海道のような過疎地の多い地域で多く発生していた。

 名義貸しは、医師にとっては何もせずともお金が貰え、地方自治体にとっては医師を派遣してもらうために医局との良好な関係を維持できる利点があり、両者にとって一挙両得の風習であった。医師は社会におけるステータスが最も高い職業である。そのために特権階級意識が非常に強い。尊敬され、特別扱いされ、高給を取ることが当然であると考えている。また、医局という特別な組織で生きているので、名義貸しが社会通念からかけ離れた行為だと誰も思わなかったのである。

②自治体からの寄付金問題

 地方自治体から医局への寄付も、ほとんどの医局でごく当たり前に行われていた。地方自治体から公的な機関への寄付行為は国によって規制されているため、同窓会のような組織を経由して医局に支払われていた。あるいは、医局の医師の名義を借りて、その報酬を医師個人を経由して医局に支払うケースもあった。前述の北海道大学のT教授の医局ではいくつかの自治体から年間計2,000万円もの金額を毎年受け取っていた。(読売新聞2003年8月22日)そのようなお金を何に使用していたのか気になるところだ。医学部では各医局でアルバイト・パートの事務員や実験助手を雇用している。その人件費や医局員の学会出張、宴会などの福利厚生に使っていた。自由で使い勝手の良い非常に便利なお金であった。地方自治体からは金銭の提供だけではない。年に1、2回、自治体の首長や病院の事務長などが大学を訪問し、医師派遣を継続してもらうために料亭やホテルなどで宴席を設けることも行っていた。

(続く http://blog.hatena.ne.jp/smedpi/smedpi.hatenablog.com/edit?entry=12921228815728985280