医学部の威圧的な教員

 医学部の学生は生意気で頑固な者が多い。医師になると患者・看護師・周囲の者から「先生」と言われて表面上尊敬され、「医師は特権階級だ」と勘違いしてしまう。特に、卒業後も大学に残り出世していく医師は、ものすごくエリート意識が強く、権威や名誉を求める者が多い。このような医師が講義を行うとどうなるのか?授業評価アンケートに記載される医学生の自由意見には他の学部にはないと思われるある特徴がある。「威圧的だ」「怖い」「威張る」「学生をバカにする」などと指摘される教員が多いのだ。今時、学生を威圧しながら講義を行う教員がいることは驚きだが、世の中で医師が一番偉いと思い込んでいればそのような態度になる。

 医学部の受験生の面接に際しても威圧的に振る舞う教員がおり、医系予備校「進学塾ビッグバン」主宰で、すばる文学賞受賞作家の松原好之氏も201169日の「日経メディカルブログ」の中で、以下のようにべている。 

 まず国公立の面接官には、「うちの大学に入れてやる」と上から見下ろす体質が満ち満ちている気がします。私立の「うちの大学に来ていただく」とは真逆のこの体質が、悪評の根本原因なのでしょう。両者の違いについては、大学病院の勤務医と開業医の診療態度について、患者からしばしば聞く話を思い出します。受験生はとても弱い立場で、いわば患者と同じです。大学病院でエライ先生からひどいことを言われて落ち込んだ患者が、開業医の先生の優しい一言で救われた、という話はよく耳にします。

  同じようなことを、試験を受けて帰ってきた受験生から愚痴のように聞かされます。よく聞くのは質問だけしておいて、こちらが何とか答えても「なるほど」とか「分かりました」とか、「もう少し詳しく説明してください」といった返答すら一切せず、全くの無視でリアクションがない面接官です。

  中には長年浪人していた学生に向かって、「浪人時代に何をしていたんだ、年食ってほかに行き場がないから医者になろうなんて、ふざけてる!」などとひたすら面罵に近い説教をする面接官や、読んだ本について聞かれ、型どおり「夏目漱石」と答えると、「私はこう見えても漱石はかなり読み込んだ。君がそう言うなら『則天去私』について説明したまえ」と言うので、しどろもどろになりながら言葉を繰り出すと、途中で「もういい。その程度で軽々に漱石の名を口にするんじゃない」としかる面接官もいたそうです。